Kさん 79歳の投稿記事から~
病気らしい病気をしたこともなく、もっぱら近辺の丘や山を
ほっつき歩くことを趣味にしてきたのに、今年4月、心筋梗塞の
予兆があり、救急車で搬送され、バイパス手術を受けた。
以後、閉塞性動脈硬化症を発症し、足指の先端が壊死し始め、
結果6本を切断。半年の入院生活を終え、先週辛うじて退院した。
半年に及ぶベッド上生活で体中の筋肉はそげ落ち、トイレへ
行くのもやっとこさ。生来アウトドア派である私は、そう長くは
ない残生をどう生きていったらよいのか思い悩んでいた。
そんな折り偶然出くわしたのが数学者・藤原正彦氏のエッセーだった。
氏は、近所の掲示板に「これからが、これまでを決める」とあるのを見て
「あっ」と声が出たという。
「これまでが、これからを決める」という欧米型世界観と正反対の
東洋の哲学。これからの生き方次第でこれまでの人生の意味が違って
くるというすごい言葉だ、と。
「これまで」が原因ではないという考えは、病み上がりで不安に
おびえる私の頭にすっと入ってきた。
暗くて見えなかった前方に光明を見いだす思いがした。
◇ ◇ ◇
過去を振り返り、過去に原因を求めるのではなく、
これからの生き方が、これまでの生き方、在り方を
決めるという言葉、人生の真理を示していると
感じた。深淵な“すごい”言葉。